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2005年7月11日 (月)

「食べせていただく」「探ささせていただく」を、普通に操る日本人

※註:キーワード“させていただく”の検索で来てしまった方へ。
 以下の内容は、“さ入れ言葉”を扱った記事です。
 「“させていただく”の濫用」について書かれたものではありません。
 後者の意図でお探しの方は、こちら(日本語の乱れ-Wikipedia-4.3.2)をご覧になるか、改めて、「させていただく 濫用」「させていただく 多用」「させていただく 使いすぎ」等の複数キーワードで再検索されることをお勧めします。
(2006.10.27 キーワード“させていただく”検索からの閲覧傾向が増えている為、老婆心ながら追記す)

先ほど、
「読まさせていただきました。」
というメールを、2通立て続けにもらった。

う======ん (>_<)

と、唸ってしまった。

書いてるご本人は、
おかしいとは思わないから、そういう風に書いてくるんだろうな。

丁寧に言おうとしているんだろうな、
という心の動きは分かるんだけど、
ちょっと、まだ、「さ入れ言葉」は、
民衆に受け入れられているとは、
言い難いですぞ。

この場合は、
「読ませていただきました。」
が、正しい使い方。

と、ここまで書いて。。。。

そ、そうか・・・

ハタと思い当たるフシが!

このメールをくれた方と、
昨日、
会話をしていて、
「見せていただく」という使い方は、おかしい。
「見させていただく」ではないか?

という話をしたばかりだったのだ。

ウ====ム (@_@。

それに引きずられてしまったということか・・・

つ、つくづく、

その方は文法が苦手な人なのね。

「読む」と「見る」は、
活用の仕方が違う動詞なのっ!

「見る」は、マ行上一段活用

なので、

 未然形-み
 連用形-み
 終止形-みる
 連体形-みる
 仮定形-みれ
 命令形-みろ、みよ

と、変化する。

「読む」は、マ行五段活用

 未然形-ま、も
 連用形-み、(ん)
 終止形-む
 連体形-む
 仮定形-め
 命令形-め

と、変化する。(括弧は音便によるもの)

違う動詞なんですよ。

 

んでね。

動詞に、助動詞である「せる」「させる」を付けると、
相手(or 他者)に対して、命令的な意味になるけど、
  「先生が生徒に教科書を読ませる」みたいに

更に、「いただく」を伴うと、
自分が、「~~させていただく」という表現に変わる。
  「お手紙、読ませていただきます」のように

ところで、
「せる」と「させる」には、相性があって、
ドッキングできる相手が限定されている。
この動詞とは気が合うけど、あの動詞とは、気が合わないわ
というのである。

調べてみる。

せる ⇒ http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%A4%BB%A4%EB&kind=jn&mode=0
させる ⇒ http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?id=0772530-0000&kind=jn&mode=5

書いてあるように、
「せる」は、「五段およびサ行変格活用の動詞の未然形に接続する
「させる」は、「上一段・下一段・カ行変格活用の動詞の未然形に接続する。場合によりサ変動詞にも付く
というように、住み分けがされているのである。

だから、
マ行上一段活用の「見る」には、「させる」がドッキングして、
マ行五段活用の「読む」には、「せる」がドッキングするんですよ。

まぁ、
こういう文法的な理屈じゃなくても、
「さ入れ言葉」は、ちょっと、違和感あるよね。

じゃ、さ。
ダメ押し的に、「食べる」でやってみてよ。

「食べる」は、バ行下一段活用の動詞。

 未然形-べ
 連用形-べ
 終止形-べる
 連体形-べる
 仮定形-べれ
 命令形-べろ、べよ

と、変化する。
そう! 「見る」と同じ、一段活用の動詞なの。

これを、「~~させていただく」という表現にするには、
「させる」が付くのが正しいんだけど、
「見せていただく」風に、「せる」を付けてごらん。
未然形に付くんだよ。

「食べせていただく」

そんな日本語あったっけ??

ね、おかしいでしょ?

やはり、「させる」を付けて、
「食べ・させていただく」としなきゃ、成立しないよね。

※食べるの謙譲語は、「いただく」とか「ご馳走になる」です、
 というのは、また、別の話だから、ここでは、屁理屈として扱います。
 飽くまでも、「食べ」を残した状態で考えると、って話をしてるから。
 それ言ったら、「見る」だって、「拝見する」っていう、謙譲語がありますからね。

ついでに、同じ、上一段活用の「着る」でも、やっとく?

「着る」は、カ行上一段活用動詞。
活用の変化は、「見る」を参照。(「み」が「き」におきかわるだけだから)

で、
「見せていただく」が成立するなら、
「服を着せていただく」も成立することになるよね?

でもさぁ。
「服を着せていただく」って、
この話題の前提要件にしている、
自分が「~~させていただく」という意味になってる??

これって、
明らかに、
人に着せてもらう、って意味にしか、取れないよね?

やっぱ、
自分で着るんなら、
「服を着させていただく」
じゃないと、おかしいよね。

なら、
同じ上一段活用の、
「見る」も、
「見せていただく」では、
自分が「~~させていただく」という意味ではなく、
人に見せてもらうことになっちゃうよね。
だから、やっぱり、
「見させていただく」じゃないと、おかしいんだよ。

 

じゃ、
も一つやっとく?

「探す」を、「~~させていただく」という表現にしてみてよ。

「探す」は、

 未然形-さ、そ
 連用形-し
 終止形-す
 連体形-す
 仮定形-せ
 命令形-せ

と活用する、サ行五段活用動詞。

五段活用なんだから、「せる」がドッキングするのが正しいんだけど、
「読まさせていただく」風に、
「させる」をくっ付けてみて。
未然形に付くんだよ。
どう?

「探ささせていただく」

そんな日本語あったっけ??

ね、おかしいでしょ?

やはり、「せる」を選んで、
「探させていただく」にしないと、成立しないでしょ?

だから、
「読む」も、「読まさせていただく」じゃなく、「読ませていただく」が正しいの。

第一さ、
「よまさせて」で、変換すると、「世増させて」とかになって、
ちゃんと変換しないよね?
その時点で、
「あれ、おかしいな?」
って、思わないかね・・・

ま、思わないんだろうな。
思い込みの劇・激しい人だから。

(参考)
・「さ入れ言葉」(奥義の巻~敬語の専門的知識~)
・「入らさせていただきます」(ことばおじさんの気になることば)

 

こいういう、間違った使い方していると、
それは、子供にも伝染して、
ゆくゆくは、
「こういう日本語を話す親の顔が見てみたい」
って、言われちゃうんだろうなぁ。

 


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コメント

大変勉強になりました。
私も文法が、苦手でした。
正しい日本語を使うことの難しさを実感しました。
次の世代の子供たちに、正しい日本語を伝えられるようにしたいと思います。

投稿: かなえ | 2005年7月12日 (火) 10時52分

文法云々は確かに難しいです。
言い始めると切りがないし、
時代時代によっても、論説は変わっていきます。
今、間違っていると酷評される用法も、
20年、30年後には、正しい用法として辞書に載っているかもしれません。
そうなると、何が正しいんだと言うことになりますが、
それを判断するには、
今自分が使っている言葉が、
どれだけ幅広い層に受け入れられているのか、敏感に察知することではないでしょうか?
多くの民衆に受け入れられた時点で、それは正しい用法になるのですから。
文法が出てくるのは、その後の話で、
まず、
今、自分の口から出ようとしている言葉が、
「あれ、なんかおかしいんじゃないか?」
と、直感で疑うセンスが必要。
そのセンスを磨くのは、
いかに多くの人の話に耳を傾け、
自ら積極的に言葉を使っていく、
そういうことに他ならないのだと思いますが。

投稿: ときわ | 2005年7月12日 (火) 12時00分

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